碁の素晴らしさをアピールする方策

2007年5月29日に日本棋院の新副理事長に就任した大竹英雄名誉碁聖は、「碁の素晴らしさを世にアピールすることが大切だと思います」と抱負を語った。囲碁普及のアイデアとして、「日本棋院が独自で棋戦を創設し、(優勝賞金、対局料などは)ファンの皆さんにスポンサーになって頂く」「棋士がチームを組んで、全国のファンの元に行脚する」などを提案したが、安倍総理の「美しい日本」同様、具体性に欠け、具体的なイメージは湧いてこない。プロ棋士の側からは囲碁普及策は見えづらいのかもしれない。
そこで大竹新副理事長にエールを送ろうと、「碁の素晴らしさを世にアピールする方策」=「囲碁普及の具体策」を囲碁ファンに募ってみた。しかし、投票件数は59件とわずか。囲碁普及に興味がないというよりは、碁の素晴らしさをアピールする具体策がなかなか浮かんでこないというのが実情のようである。

アンケートからは、「普及の担い手≠プロ棋士」という結果が出た。普及活動でプロ棋士に期待する提案、例えば、「県普及担当プロ棋士(47都道府県)をファン投票で選ぶ」(1票)、「全国の小学校囲碁クラブにプロ棋士を無料指導派遣する」(1票)、「国の碁会所(約2000所)に指導担当プロ棋士」(2票)などには票は入らなかった。一方、「有名プロ棋士がチームを組み、普及の全国行脚を」(4票)には票が集まった。これが意味するところは何か。ネームバリューのあるプロ棋士は客寄せパンダとして普及活動に役立つが、客寄せパンダにはならない無名プロ棋士では普及活動の役に立たないと言うこと。
梅沢由香里や依田紀基が来るなら囲碁を知らない一般の人でも囲碁セミナーの会場に足を運ぼうと思うが、「○○プロが指導」などと無名棋士をいくらPRしても囲碁を知らない人は会場には来ないということだ。日本棋院は早くそこに気付かなければいけない。プロ棋士は名前が売れていてナンボの商売。スター棋士をプロデュースするのが日本棋院の役割。スター棋士をプロデュースすれば、囲碁ファンがカネを払って、いくらでもスター棋士を囲碁普及に活用してくれる。

今回のアンケートは、投票数は少なかったが、示唆に富むものであった。「依田紀基九段をNHK「プロフェッショナル仕事の流儀」に出演させる」に6票も入ったのがその特徴。囲碁ファンは今、スター棋士の登場を望んでいる。李昌鎬のような世界一強い棋士、呉清源のような圧倒的に強い棋士の登場が期待できない現状で、藤沢秀行のようなクセのある棋士、話題性のある棋士の登場を望んでいる。強さで話題にならないのならば、違うことで話題になる棋士が登場してほしい。世界戦や挑戦手合で着物で臨む唯一の棋士、出身地の北海道の子供たちへの囲碁普及に私財を擲(なげう)つ棋士――依田紀基には話題性がある
囲碁界にスター棋士を作り、スター棋士をプロデュースするのは日本棋院の大切な役割。梅沢由香里、進藤ヒカルなどは日本棋院がプロデュースしたというよりは、日本棋院はその人気に便乗した口。日本棋院がプロデュースした平成四天王の人気にもそろそろ陰りが出てきた。井山裕太・黄翊祖を売り出すにはまだ話題性がない。どちらかが世界戦で優勝してくれればいいのだが…。

順位項目名得票数コメント
第1位日本棋院は普及に必要な組織作りを8票囲碁普及を日本棋院が単独でやれるとは誰も信じていないし、誰も期待していない。日本棋院がしっかり裏方に廻り、囲碁普及に必要な組織作り、人的・資金的な後押しをしてくれることを囲碁ファンは期待している。日本棋院・普及部には早くそのことに気付いてほしい。
第2位『ヒカルの碁』の続編連載開始7票「ヒカルの碁は実際に囲碁ファンの底辺を広げた。放映を継続してほしい子供達も沢山いるはず」(やま)。子供たちに頭脳スポーツとしての碁を認知させる上で「ヒカルの碁」効果は大きかった。
第3位「ヒカルの碁」のテレビ再放送を働きかける6票『ヒカルの碁』には進藤ヒカルという憧れのスター棋士がいた。小学生、中学生の子供たちは、もしかしたら自分が進藤ヒカルになれるかもしれない、ということに夢を抱く。『ヒカルの碁』には夢がある。囲碁ファンを増やすにはこれしかないか。
第3位依田紀基九段をNHK「プロフェッショナル仕事の流儀」に出演させる6票囲碁ブームの時には必ず囲碁界にスター棋士がいた。今、囲碁界を代表するスター棋士は依田紀基九段。小学校で勉強は出来なかったが、囲碁界で日本を背負って立つスター棋士になった。依田紀基九段には子供たちが憧れるスター性がある。子供たちが憧れるスターの誕生が碁の素晴らしさをアピールする最善の方策だ。
第5位有名プロ棋士がチームを組み、普及の全国行脚を4票有名プロ棋士がチームを組み、全国行脚をすれば囲碁を知らない人が集まり、新しい囲碁ファンは増えるでしょう。無名棋士では、すでに囲碁ファンの人しか集まらない。それでは新規ファン開拓には役に立たない。囲碁を夢のある頭脳スポーツとして認知させるためにも、若いスター棋士と美女棋士が登場してきて欲しいな。
[調査期間:2007年6月3日〜2007年6月16日、総投票数: 59票]